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水のコラム

シンクを破損させないために

2021年08月26日 キッチンのメンテナンス

シンクに穴が開く?

皆さんのご自宅のキッチンは、どのような材質でできているでしょうか。海外で人気の高いホーロー製、デザイン性に富んでいる人工大理石などさまざまですが、日本で多く普及しているのは、ステンレス製のキッチンです。

ステンレス製のキッチンが日本で初めて作られたのは昭和31年(1956年)のことです。それまではコンクリートや木製のキッチンが主流でしたが、サビにくいステンレス製のシンクの登場により、日本の台所はいっそう便利で使い勝手の良いものとなりました。

そんな丈夫なイメージの強いステンレス製のシンクですが、実は穴が開いてしまうことがあるのです。シンクに穴が開けば当然流れた水が漏れ出し、台所は水浸しになってしまいます。ステンレス製のシンクに穴が開いてしまう原因は何なのでしょう。穴が開かないようにするためには何をすればいいのか、正しい手入れの方法を見ていきましょう。

そもそもステンレスとは?

ステンレスと聞くと、サビない金属のことだと思われがちですが、正しくは「サビにくい」金属です。ステンレスは鉄を主成分とし、クロムを一定の割合以上含む合金のことです。加工が非常に難しいという点はありますが、サビにくいというメリットを持っています。その理由は、含まれているクロムにあります。

・鉄がサビる仕組み
鉄の表面に水分が付着すると、その水分を通して酸素が鉄に吸収されるのです。鉄と酸素と水が結合した後、水分だけがなくなり、酸化鉄が残ります。これが、サビになるのです。

・ステンレスのサビにくい理由
では、なぜ同じ鉄を主成分としているのに、ステンレスはサビにくいのでしょう。それは、ステンレスに含まれるクロムの方が、鉄より早く酸素と結びつくからです。酸化したクロムは金属の表面に「不働態被膜」と呼ばれる、目には見えないバリアを作り出します。

このバリアが鉄を酸化から守っているのです。不働態被膜のすごいところは、傷ついてしまったとしても瞬時に再生する点にあります。バリア機能が長く続くため、ステンレスは水に触れる機会の多いシンクに最適な金属というわけなのです。

・バリア機能は永遠には続かない……
しかしこのバリア機能も劣化により、徐々に回復速度が落ちてきてしまいます。すると、無防備になった鉄が酸素と結びつき、サビが出てしまうのです。その他にもステンレスが他の金属と接していた場合、もらいサビといって、別の金属のサビがステンレスに移ってしまうことがあります。ステンレスも金属ですから、サビによる腐食が進むと金属自体がもろくなってしまいます。すると、穴が開きやすくなってしまうというわけです。

ステンレスの弱点

・ステンレス製シンクに傷はNG
シンクを破損から守るためには、第一に傷をつけないことです。シンクですから、洗い物を置くこともあるでしょう。その際に、鋭利な包丁やナイフ、フォークなどによって表面に傷がついてしまうことがあります。不働態被膜はすぐに回復するかもしれませんが、ステンレス自体に傷がついてしまった場合、そこに汚れや水分が溜まることによって、サビが発生する原因となりますので注意が必要です。

・塩素や塩分
ステンレスを覆っている不働態被膜は、塩素系漂白剤に弱いという特徴があります。掃除のために一時的に使う程度であれば問題はなくても、洗剤が長時間同じ場所に付着したままになっていると被膜が剥がれてしまう原因になります。掃除の後は漂白剤などの洗剤もきちんと流す必要があるのです。

さらに、洗剤以外にもしょうゆや塩などの塩分も、ステンレスには大敵です。シンクですから、食べ残しや調理後の食器などを洗う際に塩分を含んだ汚れが流れてしまうことはよくあります。ですが、そういった汚れが残ったままになっていると、腐食が進む原因となってしまいます。

・もらいサビ
また、サビた金属をそばに置いておくともらいサビが発生しするのです。金属でなくとも、長時間同じ場所に同じものを置きっぱなしにしていると、たまった汚れからサビが出てしまうこともあります。シンクとつながっている作業スペースの部分から全体がサビてしまうこともありますので、置きっぱなしのものがある場合は定期的に汚れを落とすことを心がけましょう。

シンクに穴が開いてしまったら

丁寧に使っていても、劣化によりシンクに穴が開いてしまうことはあります。気を付けたいのは、シンクが破損してしまった場合、キッチンを丸ごと取り換える必要がある点です。シンクから天板、加熱調理台まで一体化しているシステムキッチンはなおさらですが、セクショナルキッチンであってもシンクと天板はつながっていることが多く、シンクのみの交換はほぼ不可能なのです。

いきなりキッチンを取り換えるといっても費用が工面できない場合もあるでしょう。そう言った時は、一度水回りの専門業者にご相談してみてはいかがでしょうか。穴の程度にもよりますが、パテで埋めて応急処置をしてくれる場合があります。

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