知っておきたい給水管の基礎知識：種類・トラブル・対処法 -ぎふ水道職人 -岐阜県の水道修理、お風呂、トイレ、台所の排水管のつまり修理

水のコラム

知っておきたい給水管の基礎知識：種類・トラブル・対処法

2024年09月27日水回り

私たちの日常生活に欠かせない水道。蛇口をひねれば当たり前のように水が出てきますが、その裏には複雑な給水システムが存在します。

中でも給水管は、私たちの生活に直結する重要な設備です。本記事では、給水管の基本的な知識から種類、起こりうるトラブルまでを詳しく解説します。

配水管と給水管の違い

配水管と給水管、実は役割の異なる2種類の管があることをご存知でしょうか。これらの違いを理解することで、水道システムの全体像が見えてきます。

配水管：公共の水道管

配水管は、浄水場から各家庭や事業所の近くまで水を運ぶ大動脈のような役割を果たします。道路の地下に埋設されているこの管は、水道局が管理する公共のインフラです。大規模な配水管は直径が1メートルを超えるものもあり、地域全体の水供給を支える重要な設備です。

給水管：各家庭につながる水道管

一方、給水管は配水管から分岐して各家庭や事業所に直接水を届ける管です。道路から建物内に引き込まれ、蛇口やトイレなど、実際に水を使用する場所まで繋がっています。給水管の直径は一般的に13〜25ミリメートル程度で、配水管に比べるとかなり細いのが特徴です。

管理と責任の違い

配水管と給水管では、管理責任が大きく異なります。配水管は水道局が管理するため、トラブルが発生した場合の修理責任があるのは水道局です。一方、給水管は個人や事業所の所有物のため、給水管のメンテナンスや修理は所有者の責任で行う必要があります。

例えば、道路で水漏れが起きた場合は配水管の問題である可能性が高く、水道局に連絡すれば対応してくれます。しかし、自宅の敷地内で水漏れが発生した場合は、個人で修理業者を手配しなければなりません。この違いを理解しておくことで、トラブル発生時に適切な対応をとることができます。

給水管の種類と特徴

給水管には複数の種類があり、それぞれに特徴があります。時代とともに素材や技術が進化し、より耐久性が高く、安全性の高い給水管が開発されてきました。ここでは、主要な給水管の種類とその特徴について詳しく解説します。

鉄管（鋼管）：昔ながらの丈夫な管

鉄管は、かつて広く使用されていた給水管の代表格です。強度が高く、耐震性にも優れているため、長年にわたって信頼されてきました。しかし、最大の欠点はサビやすいことです。時間が経つにつれて管内部にサビが蓄積され、水質悪化や赤水の原因となります。さらに、サビによって管に小さな穴（ピンホール）が開き、水漏れを引き起こしやすいのが特徴です。

鉛管：かつての主流、今は要注意

鉛管は、柔軟性があり加工しやすいため、かつては広く使用されていました。しかし、鉛は人体に有害な物質であることが分かり、現在では新規での使用が禁止されています。古い建物にはまだ鉛管が残っている可能性があるため、築年数の古い家屋では特に注意が必要です。鉛管が使用されている場合は、早急に他の素材への交換を検討すべきでしょう。

ポリ管・VP管：現代の主力選手

現在、給水管の主流となっているのがポリエチレン管（ポリ管）と硬質塩化ビニル管（VP管）です。これらは軽量で施工が容易なうえ、耐食性に優れているため、長期間使用できます。特にポリ管は柔軟性があり、地震などの揺れにも強いという特徴があります。VP管は安価で扱いやすいですが、寒冷地では低温時に脆くなる可能性があるため注意が必要です。

HIVP管・樹脂管：進化した新世代

HIVP管（耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管）や架橋ポリエチレン管、ポリブテン管などの樹脂管は、従来のポリ管やVP管をさらに進化させた新世代の給水管です。これらは耐久性が高く、寒冷地でも使用可能です。特にHIVP管は、低温での割れにくさが改善されており、幅広い地域で採用されています。

銅管：給湯管の定番

銅管は主に給湯管として使用されてきました。耐熱性に優れ、細菌の繁殖を抑制する効果もあります。また、リサイクル性が高いという環境面でのメリットもあります。一方で、施工には専門的な技術が必要で、コストが高くなる傾向があります。近年では、樹脂管の進化により、給湯管としての使用も減少傾向です。

ステンレス鋼管：高品質だが高コスト

ステンレス鋼管は、耐久性と耐食性に優れた高品質な給水管です。長期間使用しても劣化しにくく、衛生面でも安心です。しかし、初期コストが他の素材と比べて高くなります。主に、高級住宅や大規模建築物で使用されることが多いです。

給水管の種類は多岐にわたり、それぞれに長所と短所があります。自宅の給水管がどのタイプなのか確認し、適切な管理や交換時期を見極めることが大切です。特に古い建物では、鉄管や鉛管が使用されている可能性があるため、専門家に相談して適切な対応を取ることをおすすめします。

給水管のトラブルの影響と対策

給水管は私たちの生活に欠かせない重要な設備ですが、時として様々なトラブルに見舞われることがあります。これらのトラブルは、日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、放置すれば深刻な被害につながりかねません。

水漏れ

水漏れは給水管のトラブルの中でも最も頻繁に起こる問題の一つです。特に壁や床下など、目に見えない場所で発生する水漏れは気づきにくく、発見が遅れがちです。水漏れの兆候として、水道料金の急激な増加、壁や天井のシミ、カビの発生などが挙げられます。長期間放置すると、建物の構造を弱め、台風などの自然災害時に深刻な被害を引き起こす可能性があります。

水漏れの不安がある時は、定期的に水道メーターをチェックしましょう。全ての蛇口を閉めた状態でメーターを確認し、数値が動いている場合は水漏れの可能性があります。

赤水

赤水は、主に古い鉄管が錆びることで発生します。蛇口から出る水が赤茶色や黄色っぽくなり、見た目だけでなく味や臭いにも変化が出やすいです。赤水は健康に直接的な悪影響を及ぼすわけではありませんが、洗濯物を汚したり、飲料水として使用できなくなったりして日常生活に大きな支障をきたします。

赤水が頻繁に発生する場合は、給水管の交換を検討してください。特に築年数が古い家屋では、定期的な点検を行って、適切な時期に給水管の交換をおすすめします。

凍結

寒冷地では冬季の給水管の凍結が大きな問題となります。水は凍ると体積が増えて膨張するため、給水管内で水が凍った場合は管が破裂する可能性があり大変危険です破裂してしまうと大規模な水漏れや断水を引き起こし、修理に多額の費用がかかることもあります。

凍結を防ぐには、露出している給水管を保温材で覆ったり、寒い日は少量の水を流し続けるなどの対策が効果的です。また、長期不在時には事前に水抜きをしておくとよいでしょう。

水圧低下

給水管のつまりや劣化、水道本管の問題などが原因で水圧が低下すると、シャワーの勢いが弱くなったり、洗濯機の動作不良を引き起こしたりして日常生活に様々な支障が出ます。

特に古い給水管では、長年の使用による内部のつまりや腐食が水圧低下を引き起こすことが少なくありません。このような場合、給水管の洗浄や交換が必要になるでしょう。

岐阜県の水道事情・料金

岐阜県の水道料金は、全国平均と比較するとやや安めの水準にあります。岐阜県の平均的な水道料金は1か月あたり約2,740円で、全国平均の約3,241円を下回っています（※呼び径13mm・20㎥・1ヶ月分とした場合の比較）。しかし、地域や使用量によって料金は変動するため、詳細は各市町村の水道局に確認することをおすすめします。

しかし、この料金の安さが逆に水漏れなどのトラブルを見逃しやすくする要因にもなっています。わずかな水漏れでも、長期間放置すれば大きな問題に発展する可能性があります。そのため、定期的な点検や水道メーターの確認が必要です。

また、岐阜県は寒冷地域も多いため、冬季の凍結対策が特に重要です。凍結による給水管の破裂で突然の断水や高額な修理費用を招く事態にならないよう、前述の凍結対策を確実に行いましょう。

さらに、地域によっては水質が硬水であることもあり、給湯器や洗濯機などの家電製品にカルシウムが付着しやすい傾向があります。これは給水管内部にも影響を与え、長期的には水圧低下やつまりの原因となる可能性があります。こまめな清掃や適切なメンテナンスを心がけることで、給水管や関連設備の寿命を延ばすことができます。

参考 : 水道料金ランキング！1345市町村の順位を公開、6,000円の差も